生徒の窓 5/1

*お知らせ*

***授業状況***

✿✿ 教材 ……●紬付け下げ・紬2点 (流水,辻が花柄)

●付け下げ訪問着…裾模様物ですが紬です。しっかりした生地なので単衣でも。

●紬…2点とも地厚です。単衣にお勧めです。

✿✿教室の手持ち反物……教材用の反物を一覧にしました。こちらからご覧になって予定を立ててください。価格は教室の一覧にて

✿✿針の管理……針を紛失するケースが増えています。お昼にも本数を確認して頂いていますが、使用する本数を最小限にしてその都度数えられ範囲にするとか、待ち針には必ずマークを付けましょう。

✿✿出席届……出席届の枠が増えました。キャンセル待ちの記入欄は作ってないので、電話もしくはメールでお問い合わせください。

✿✿ 出席やキャンセルの連絡は下記針山アイコンよりお願いします。(教室の留守電可)

✿✿マスクについてお願い……コロナウィルスによる感染防御のマスク使用については、個人の自由に任せることになっています。当教室では顔を近づけての会話が多い為、いましばらくの間マスクの着用をお願いします。(授業中会話をしない状態ではマスクを外していただいてもよいです)講師は常時着用

✿✿ 窓開換気の為、気候に合わせて着るものの調節をお願いいたします。

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 **凛マガジン**

●螺鈿(らでん)を知っていますか?
●正しい加工方法
●新素材登場!
●もどきの補正依頼
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●螺鈿(らでん)を知っていますか?

メルマガでは何度か取り上げていますが、螺鈿(らでん)という加工があります。

Wikipediaの解説↓には呉服に関する記述はありませんが、貝殻を使った装飾加工です。

アワビなどの貝殻の内側に、オーロラ色の光沢を放つ層があります。
その層を削り取って、装飾パーツとして利用した加工です。

地直し職人になるずっと前、キセちゃんは料理人をしていた時期がありました。
修行していた料亭で、お店の大将から、アワビの貝殻は廃棄せず、キレイに洗って保管するように言われていました。

当時は呉服のことは何も知りませんから、言われるままに保管していましたが、定期的に、その貝殻を引き取りに来る業者さんが居たんです。

呉服業界に入ってから、あー、あれが螺鈿の原料になってたんや! とわかりました。

お客さまが召し上がった後の貝殻と、螺鈿用に加工されたパーツ、両方の現場を経験できたのは、すごく良かったと思っています。

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●正しい加工方法

螺鈿には、貝殻という素材の特性上、螺鈿には、硬くてもろい性質があります。
伸縮性がなく、負荷がかかると折れたり割れたりします。

なので、呉服や帯の螺鈿加工には‥‥
極限まで薄い層にして切り取り、特殊な接着剤で和紙と貼り合わせ、さらに和紙に貼り合わせた螺鈿“だけ”に、細~い切り込みを入れて動きに沿えるようにする(和紙には切り込みを入れない)
とか、帯に使う場合は、極細の短冊状に加工した螺鈿を、糸といっしょに織り込む
‥‥など、素材の性質をカバーすべく、さまざまな工夫と繊細な作業が詰め込まれています。

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●新素材登場!

扱いが難しい素材や加工は、時代とともに、簡単に扱えるような新素材・新技術が出てくるのが、業界の常となっております(笑)。

螺鈿にも、新素材、新技術が登場しました。
樹脂で作られた「螺鈿もどき」です。
貝殻由来ではありませんが、オーロラ調の光沢は、本螺鈿と見分けが付きません。

いちばんの特徴は、柔軟性があるということでしょう。
繊維の動きに沿ってくれるので、細い短冊状に切断する必要もありませんし、糸で留めるための穴を開けたら割れた!ということもありません。

これに伴い、繊維への装着方法にも新しい流れが出てきました。
樹脂製の螺鈿もどきに、合成樹脂由来の接着剤で接着する技術が生まれました。

ホンモノではありませんが、螺鈿“風”の加工が、呉服や帯に広まっていったのです。

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●もどきの補正依頼

先日、螺鈿「もどき」が使われた帯が、凛にやってきました。
先方の主訴として、
「螺鈿(もどき)に使った糊が飛んだから、取ってほしい」とのこと。
現物を見ると、確かに、螺鈿(樹脂製の「もどき」)の周辺に、接着剤(こちらも樹脂製)がはみ出たような形跡があります。
なので、ご依頼通り、樹脂の除去をして納品しました。

と・こ・ろ・が!!

納品してから1ヶ月ほどして、この品物が出戻ってきたんです。

この時の依頼は、糊ではなく、「螺鈿(もどき)がめくれてきている。きちんと接着して欲しい」という、別の内容になっていました。

前回は糊の飛散。
糊を取ったら、今度は加工が剥がれてきている?!
これは、素材と接着方法、両方に問題があるのでは?!

‥‥と、2度目の依頼で初めて、加工工程に怪しさを感じたのでした。